信じられる日本のために2006年09月01日 21時12分18秒

きのう付で長野県の田中康夫知事が退任しましたが、その退任挨拶を今朝見てかなり感動しました。ことばの上手な方ではあるわけですが、その姿勢や意気込み、打ち上げた施策などは充分、受容できたのです。選挙でも半々に近く、長野県民の意志も割れたといえるでしょう。

やはり、キャッチフレーズの、『信じられる日本』はいつ聞いてもいい響きです。社会全体に広がる荒廃感や殺伐とした雰囲気、互いを信じ合えない環境、そういった社会の退化といえる現在を鑑みるとき、田中氏の意思と行動はパフォーマンスではなく価値ある積極的な姿勢の現れだったはずです。

フランスの与党の保守連合の現政権のキャッチフレーズは、<< Pour une croissance social >> (社会の進歩・発展のために)ですが、こういったことばを大切にする姿勢が現政権にも、今度の安倍氏にも欠けています。何度も述べていますが、進歩・発展とは誤りを知り、それを繰り返さず、よくしていくことです。道路をつくったり、自動車を増やしたり、建造物をこさえたりすることではありません。ましてや、過去の過ち・誤りを正当化・美化しさえしかねない危険性を孕んだ今の自民党の大勢はフランスの保守にさえ遠く及びません。

愚かさや幼さ、醜さをまるで当然のことのように前面に押し出し、利益を上げること、力を奮うこと、他者をけ落とすこと、などなど、そういった行き方をよしとして賞賛し勧める状況は社会の進歩・発展とは逆なのです。見かけがいくら、たとえ近未来的な光景に変わったとしても、それは退化であり、退廃です。

田中氏がまた、どこかで、違った形であれ、活躍されて社会の真の変革に向かって能力を発揮されることを願ってやみません。人を信じられる社会であってほしい、と願わずにはいられません。