偶然のセンダン満開2009年05月30日 20時29分15秒

センダン
しばらくぶりに通りかかった海岸沿いの少し入った場所、今は使われていない夏の別荘地の片隅にセンダンが育っていました。もう高さは3~4m位でしょうか。それでも下から手の届く範囲で葉を広げ、花を付けています。咲き出したのは1~2週間前頃だったのでしょう、それでもこの曇り空のもと、いっぱいに花を付けて、離れたところから見ると薄紫にくもっています。ゆったりと揺らしながら色香をふりまいているかのようです。たぶん、実を運んだ鳥が落としたところから生えたのだと思われます。普通は山のものですから(このあたりでは)。

これもまた、自然というもの、と安易に思いがちですが、実際にはその生育場所は自然の地ではあり得ないわけで、こういった人工環境に再度戻る形での成長は珍しくはありません。そうして放置、放棄された空間に占める偶然種、突発種、移転種の(もちろんこれらは学術用語ではありません)種類や数は意外に増えているのかも知れないのです。過疎化や虫食い的空洞化による生育地は近年この田舎町でも増えてきているからです。いなくなってくる人口減少は止まりませんし、事後対策も保護も保全も改善修復も全くなされませんから。

これから、いえ、今何をなすべきかについて、行政当局は全く構想すらないようです。てんでばらばらな、なすがままの住宅建設や地域・集落の不安定化に伴うエントロピーの増大は社会的な無秩序や荒廃と景観の破壊を進行させているのです。このセンダンはそんな町や環境全般のひとつの指標的な存在としても見ることができたのです。