迫り来る破壊2005年06月08日 19時17分08秒

先にあるところの中世の城趾ですが、そこに至る道を含め、その城山の下に 国道が通っています。もともとは旧街道に沿う形で敷設されたのですが、悪 いことに、アンバランスの解消をするための方策には手を付けず、いえ、ただ ただ増え続ける交通量(いいえ、自動車数)の輻輳化の回避のみのためにま た一本の道路を脇にこさえています。それがどうやら、なんの説明も了解も なしにこの城山を突っ切る予定らしいのです。

濃くなった緑を見つめるに付け、その山稜に沿う、ちょうど企図されているそ の道路の先には意外に貴重な広葉樹林の林を形成しています。植林地に 囲まれながらも、中世以来保持されてきた(一部ははるかにもっと古い)豊 かさを奪うことになるのです。実際、春からの新緑、夏の深さに埋もれた下 地の生え、秋の紅葉、と移る季節に沿うその変化こそ大切なかけがえのな い遺産です。一部といえども、失われることは耐え難く、取り返しのつかない 喪失です。

事前調査、説明、計画の見直し、さらには、渋滞の原因の解消のための方 策、といった本質的な問題には触れようとせず、ただやみくもに推し進める そのやり方は今の首相と本質的に変わりません。能なし、感覚無しの姿勢 はその返しに合うまで気づきもしないのでしょうか。耐え難い愚かさです。