環境再生と生物多様性2010年10月24日 20時59分56秒

昨日の看板
多くの展示と「多様な」環境保護活動に触れていつもながらに感じるのは、人工的な環境の構築と後の、いえ、現在の中心的課題の自然再生、環境復元の困難さです。一度失われてしまうと二度と元には戻せません。それでもなお、再生と復元に向けての取り組みは各地で盛んに行われ、私が参加させてもらっている団体や会議でもその主要議題となっているのですが、単一化され、単相化された環境とその放置が過去との断絶になっていて、かつての多様な自然環境や生物の姿は見えてきません。

ひとつの例ですが、ヘドロや汚泥などの湖の底の浚渫、あるいは河川の浚渫をいとも簡単に行っています。そこでかつての歴史を含め、埋土種子などのまだ甦る可能性のある生物や遺骸などの喪失と破壊を考えていません。過去にあったはずの、そして現在ならこう遷移なり変化を遂げたであろう湖岸や川岸、水中、水底の本来の姿を私たちは想像することも困難になっています。たとえ種子や花粉などを得られたとしてもすでに破壊された環境と死滅して何も残さなかった生物を元にした多様性を回復させることはほとんど不可能でしょう。

交流フェアの各ブース(テント)で熱心に説明してくれたり話してくれたりした多くの人たちとその活動には敬意を表しますが、互いの主張や活動の間にはまたいくつもの、まさに多様で複相化した衝突や矛盾や対立が存在します。苦肉の策か、企業エリアと市民活動エリア、大学などのエリア、など場所を分けたのは賢明でした。ひとつのテーマとなっている共生は可能だと信じたいですが、そのあたりに無理を少し感じてしまいました。このことを含めて、再生・復元・回復と多様性とは完全に一致しないどころか、相容れないところが存在することも私たちは認識すべきです。