陰の主役2006年07月24日 20時44分50秒

ハグロトンボの雌
低層に層雲がたなびき山々の300メートル付近から上は隠れて見えないどんよりとした空でした。終日雨降りかと思えば午前中には止んで、明るさも見え始めたところです。影のような空気の中、木々の下や草の生い茂る上をぱたぱたと飛び交うのはハグロトンボです。

雄は金緑色の輝く胴体ですぐにわかりますが、近くを控えめに飛ぶのは雌のハグロトンボで、まったく目立たない茶褐色の姿は脇役でいながらも陰に沿う主役なのです。かれらはどちらも翅をクジャクのように広げたり閉じたりする「習性」があり、暗い中でもその存在をはためかしているのです。

緑いっぱいのこの季節、梅雨空でもなお色はでていてこれからの夏を目指す空気がありますが、この薄暗さを形作るのはそれを一身に受けた姿でしょう。私たちもまた、自身を映し受け止めるその姿形をその陰に見いだすはずです。