奇妙な感覚2009年12月01日 19時51分03秒

朝、慌ただしく自転車を駆って駅に急ぎます。そのときはいつもの(これが大切)時間をいつもの顔馴染みの人たちと過ごす、まあ、ちょっとした共有です。どこか、時間を分かち合っている、そんな気持ちも心地よい晴れた一日の始まりです。取り立てて変にも思いません。明るい陽射しもその貴重は要素の一つです。

会社で昼間を過ごし、朝以上に、それこそ就業の鐘の鳴る音を聞きながらあわててこれまた自転車置き場に急ぎ、暗くなった街を危険と隣り合わせに進みます。そう、これも特に考えることもなく、必死の思いで駅へと着くのです。でも、それからです。列車に乗り込み、しばらくするとどこか、変な気持ちになってきます。そして、降りてまた自転車に乗り、走り出します。今度はゆっくりとです。夜道を行くとき、私を包み込むように、異様な、奇妙な感覚に襲われるのです。今が今でないような、自分が自分でないような、どこか、いえ、まさに、地に足がついておらず、ふわふわと漂うかのような感覚です。

現実感と幻想と離人感が交錯します。私は今、どこにいるのだろうか、どうしてこんな暗い道を走っているのだろうか、ここはどこだろうか、私は誰だろうか、果たして、生きているのだろうか、………。そんなこの世ではないような変な感覚にとらわれたことはないでしょうか。気持ちの張り詰めた時間からの一時的な、いえ、やっとの開放感と突き進んでゆく道の先には何も明瞭な、明るいものは見えないそんな世界の中心にたったひとりでいる、そんな時間は誰とも共有しません。ただそこには私一人がいるだけです。家路を急ぐ間中、そんな夢のような、現実感に乏しい時間の中に冷たい夜の冷気とともに浸るのです。深く沈む、そして沈みながら浮き上がるかのように漂う、そんな感覚………。