重なりに善し悪し2013年09月11日 21時23分35秒

山々の重なり
けさの快晴の空の下、見える山々の重なりは次第に青をましていき、ついには薄く、空に戻ることを教えてくれていました。こういった重なりは美しく、穏やかにしてくれます。一方、悪意や醜さに基づく声や行為の重なりはとても堪え難く忍びがたく許容できない原因の一つです。そして、度重なる福島原発の放射能漏れはとても首相のいう制御下にあるとは言えない状況です。東電による発表、今夜のニュース9でもその東電による説明を現地で受けたキャスターの声、そこにはいつ終わるともしれない現実の困難さを映していました。

光の重なる様を見つめるとき、生きている実感にさえ浸ることができます。良きもの、良きこと、良き兆し、そんな時間と空間の共有こそ、私たちの望む姿です。幾重にも、とは文学的です。そのことばで甘利経産相は福島の一号機の汚染水漏れを防ぐ、とのたまったのですが、その重なりで緩やかにしたとしても、漏れ自体を何らかの方法で止めなければおなじことです。いまからでも、別の工学的な手法によるフェイルセーフの機構を考案すべきです。文学的な実効に乏しい間に合わせではよろしくありません。

思えば2年半前、事故を、いえ、津波を防げなかった思慮のなさはそういった冷却水タンクの羅列にその重なりを見ます。始めから無理な立地と安易な建設・予想しなかったが故の海への対処などを顧みれば、そこに見えるのは幻でしかない原子力の利用です。廃棄物をのみ考えても重なる目を閉じた人々の愚かさだけに割に合わない愚行を始めてしまったつけを今払い続けなければならない、汚染水と同じ現実の中に私たちはいるのです。

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