反・自由貿易論2013年08月30日 21時46分58秒

反・自由貿易論
日本社会の危機的な状況、というと大げさに聞こえるかもしれません。しかし、現実を「正しく」知り、真実を見つめようとすればするほど、本当のこの国、社会の状態や状況が見えてくるはずです。いくつもの危機の中で、取り上げたいのは、標題どおり、TPPの交渉に入った愚かな人たちの進めるあまりにナイーブで強迫観念に突き動かされたかのような発言や行動です。それに、何よりも、報道に真実を伝えようとは思えないような姿をみるからです。

とにかく、この本をよく読んでください。国家として、社会としての存立さえ危ぶまれる状況に陥る可能性を孕んだ危険な動きを看過できるはずはないことを知るはずです。「自由貿易」による豊かさの幻想は強い思い込みと固定観念によるのだ、ということが繰り返し述べられています。日本的なもの、つまり、日本そのもの=国家として、社会の同一性の危機を知ります。外圧を喜び、あまつさえ、外国に要求する、という愚かさ(その外国から暴露されるほど)、科学的な主張のはき違え、社会を規定する法律や規則の基礎となっている了解事項や共通認識の否定や喪失・無知など、あまりに基本的で結果として不可避的な売国的行為などに気づかされます。

そういったまさに「愚かさ」はどこからくるのか、私たち自身を顧み、身近な社会の壊れた状態の深刻な現実に目を向けなければなりません。壊れゆくのはリードする政府や官僚などだけではありません。もっと卑近なところでそれは目を覆わんばかりの現状をさらけ出していることに私たちははっきりと気づくべきです。誰がそうしたのかを含め、知らないではすまされない、関係ない、ではすまないことに気づき、目を覚まして欲しいと強く思うのです。機会さえあれば、はっきりとそう言いたい、それがわたしの読後感の中心を占めています。