スペイン列車脱線事故―再び― ― 2013年08月06日 19時35分01秒
今日、更新された勤務先の掲示板のニュースで、日経はスペイン列車事故の原因を運転士の過失(速度超過)と報じていました。でも、これも含めて、おバカな報道はおしなべてこの経験豊かな運転士の「速度超過」と原因を決めつけています。本当でしょうか。こどもでも、映像をみれば速度超過は何らかの本当の原因の「結果」だと分かったはずです。
本当の原因は次のうち、どれでしょうか(あるいは他にあるのでしょうか)。
- 運転士が乗員と電話をしていた
- 経験20年以上の運転士の不注意(減速を忘れていた)だった
- 列車の自動制御装置がなかったためだった
- 減速がうまくゆかなかった
- 運転士の精神状態が変だった
- 列車の故障や不具合、あるいは経年劣化を見逃していた
- 定時到着という無言の圧力で急ぎすぎた
- 鉄道会社の別の理由を隠蔽するためだった
- 意図的な電話だった(陥れるため?)
あたった方には………名誉と賞賛が与えられるでしょう(うそです)。
あたりまえの話として、なぜ、速度超過に至ったのか、が問題なわけで、それを矮小化してベテランの運転士ひとりに責任を押しつけておしまい、では亡くなった79人の乗客は浮かばれますまい。なぜか、どうして経路や順序も熟知していた運転士がうまくできなかったのか、それを追求してつまびらかにするのが報道機関や捜査機関の役割です。どこか、胡散臭い。8年前の日本の福知山線脱線事故とあまりに似通った状況を知るとき、どうしてもこんな治め方に納得が行かない、と考えるのはわたしだけではないと思うからです。なぜ、国内の報道機関は福知山線脱線事故との類似性や原因追及について検討して論じないのか、いまだもっって不思議でなりません。あの事故を見聞きした人たちなら、ましてや、事故に巻き込まれた方々ならなおさら、その酷似した構図に思い至らないことなどあり得ないと考えます。スペイン当局やスペイン国民にも日本の経験を知らしむるべき、と信じます。ひとりのせいにして、あとは知らぬ顔で済ますなど、どこかおかしい。『よらしむべし、知らしむべからず』を地でいっているように思えてなりません。
監督官庁、鉄道会社、整備担当、他の乗務員、などなど、関係するところの責任逃れと運転士ひとりをスケープゴートにしたのだ、というのも大きな理由かもしれません。なんにしろ、先の本当の原因の追及こそ、犠牲者への手向けです。『わたしのせいじゃない』では済まないのです。
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