東京・シエスパの爆発2007年06月20日 22時22分56秒

気体の爆発反応の進行は非常に速く、一般に連鎖反応ですから加速度的でしかも多段階に急速に進行しますから、いったん、「火が付いたら」、その抑制はもちろん、感知もきわめて困難です。この意味で、ニュース報道で盛んに言われているガス検知器などはたとえあっても、今回のような事故の発生には何の役にも立たなかったものと思われるのです。

もともと、大気中への放散・排出を前提としてガス分離器から出すように作られていたことからも、そもそもガス検知器は設計段階でも不要とされていたと考えられます。常に、地下だとしても、ガス分離器からは上に放出されるはずの、主としてメタンが、室内に部分的にある分圧で存在していたとしてもその濃度をもって検知とするのは無意味な気がします。それよりも、圧力を感知してかあるいは異常に高めない工夫や造りをしていたなら、これほどの(半径50~100mらしい)規模の爆発を起こすまでには至らなかったかもしれません。電気的な検知器やそれに類した検出方法ではかえって、その作動による電気火花の瞬間的な発生が爆発反応を引き起こす可能性があったかもしれません。

南関東ガス田とかいうほどに、大量のメタン主体の天然ガスが埋まっている地域での安易な温泉掘削にこそ、この必然的な、あるいはいつか必ず起こりうる事故の、避けられない引き金が存在しているのではないでしょうか。狭隘な場所での集中的な掘削と、そこに集中する上への圧力は単純なガス分離器だけではあまりに不十分だったのです。埋蔵量を考えたならそういった点発生的なガスの噴出を招く温泉掘削は避けるべきです。

化学物質では、単なる接触や混合でも爆発的な反応進行が起こる系があります。そういった物質の組み合わせはいくつも知られていますし、今回のような、気体の混合比のある値において急速に不安定になり、ちょっとした刺激などで爆発するのは、たとえ火花などがなくとも起こりうる珍しくないことなのです。よく知られているのは、水素と酸素の混合ですし、メタンでは5%~15%でそれが起こり、9%付近でもっとも激しくなる、といわれています。 今回の爆発の引き金のもう一つの、より確からしい可能性です。