脳細胞とストレス2013年08月09日 06時26分50秒

記憶力を強くする
この本の題名は記憶力(記憶は力ではないのですが)についての解説です。内容は主として、海馬にまつわる話ですが、部分的にとても大切なことがらが書かれています。勤務先の図書から借りてきました。まあ、いるときにほとんど読んだのですが。

単純に記憶するのは意味記憶でこどもの頃に優越しています。一方、その後はエピソード記憶がそれをしのぐようになります。つまり、無意味な羅列などを覚え込むこととか、試験前の一夜漬けなどは難しくなるわけです。可塑性とLTP、これは高校の生物でも取り扱われる内容ですが、そこに至る神経細胞についても書かれています。なにより大切なのは、さまざまな働きを考慮して、記憶の増強に薬物や類する方法を用いても、その使い方、あるいは過ぎた方法は極論すれば脳を破壊することです。アセチルコリンの過剰さは猛毒、サリン、によって酷くなり、無意識に何度も繰り返しよみがえる、繰り返される、という現象にさいなまれるのです。つまり、外部からのことばや声、酷い経験などはその反復で、たとえサリンがなくとも、同じ効果(障害)を引き起こす、ということです。

そして、もっと恐ろしいのは、そういった病的な傷害行為の結果がたとえば統合失調症などとなり、あるいは器質的な痴呆症に至り、海馬の大切な神経細胞が破壊されるということです。事実上、再生はされませんから、そういった外部からの行為はいうまでもなく、犯罪に他ならないということです。金属を折り曲げていくと、しまいにはぽきん、と折れるのと似ています。回復力や弾性は次第に失われて回復不能となるのです。だんだん慣れて、あるいは、「免疫」がついて抵抗できるようになるのだ、というような愚かしい考えは全く、論外です。その正反対に、ちょっとしたことで傷つきあるいは回復不能となってしまうのです。

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